INTERVIEW先輩就農者の声
川内村栽培農作物 椎茸、キクラゲ、ヒラタケ、マイタケ、ナメコ など
ひたむきな親の背中を
追いかけて
福島県川内村でキノコを栽培する「遠藤きのこ園」。椎茸を中心に、キクラゲ、ヒラタケ、マイタケ、ナメコなどを育てています。現在代表を務めるのは二代目の遠藤雄夫さん(46)です。川内村役場職員だった遠藤さんは震災後、帰還してキノコ栽培を再開した両親の姿に影響を受けて家業を継ぐことを決意。遠藤さんの心を動かしたもの、そしてこれからの展望を伺いました。
変わったことと、変わらない村ののどかさ
菌床に使うおが粉の原料も福島県産に復活してほしいですね。
菌床には雑木って言われるコナラや、シイ、クリなどのドングリがなるような木を使うんですが、そういう木は大きくなりすぎると使えなかったり、木の病気になったりもするので、15年ぐらいで伐採して更新していかないといけません。震災前、福島県はキノコ栽培に使う木材の一大生産地だったので、常に木を切っていたから森がすごく良い状態だったんです。
本来であれば菌床の材料として福島県産材をどんどん使っていきたいんですけど、まだ使えない地域も多いです。そこで県にも、「木は使えなくても伐採だけはしてほしい」っていうお願いをしています。10年後、15年後に放射線量が落ち着いて福島の木を使えるようになったのに、木の品質に問題があって使えないということになりかねないので。
川内村の農業って今どういう状況なのでしょうか?
震災前3000人ぐらいだった村の人口が今は2300人ぐらいでしょうか。農業は、田んぼが荒れていないのが奇跡ですね。山の方は荒れているところもありますけど、平地はみんな頑張ってやってます。ただ、やはり高齢の方ばかりなので、これがあと10年もすると様子がが変わってくるでしょうね。
新しい人が入ってきたり、元の村民が戻ってきたりするためにはみんなが気軽に集まれる場所が必要だなと思います。私みたいに農業で頑張ってる人たちも何人かいるけど、忙しいのもあってなかなか集まって話をすることがないんです。やっぱり一人でやってると不安ですから、お互いに話をしたり情報を共有したりできたらいいですね。これから新規就農で入ってくる方も、私たち先輩農家と交流できる場があると違うのかなと思います。昨日なんかは近くの農家と「ダンプ貸してー「いいよー」なんていうやりとりをしましたし、私が酪農家に大きなトラックを借りることもあります。日頃から交流しているとそういうことも頼みやすいですよね。
遠藤さんから見た、川内村の暮らしのいいところってどんなところですか。
そうですねー、朝とか夕方に犬を散歩しているおじいちゃんおばあちゃんたちが何人もいるんですよ。そういうのがすごくいいなーって思います。のどかで。みんな散歩しながら畑を見て「今年は良くなったなー」なんて世間話をして。そういう地域の風景を残していきたいですね。
取材日:9月17日
取材・文・写真:成影沙紀